「シィィィ・・・ モウオカネナイヨォ・・・ オナカスイタナァ・・・」
一匹のしぃが愚痴をこぼしている。
実はこのしぃ、度重なる豪勢な買い物のせいで、激しい金欠病に陥っていた。
バイトをやってはみるものの、自身が飽きっぽい性格の為、どのバイトも長続きしないでいた。
「ドコカニ イイバイトナイモノカシラ・・・・・」
そう言って、仕事斡旋情報誌に無駄な努力とわかっていても目を通すのである。
それが日課となっていた。
そのしぃの名はしぃ美。この日も、いつもの如く既に飽き飽きとした日課を行っていた。
「ハニャ!?」
すると、一行の記事が目に止まった。
それは、しぃ美にとって、天から零れ落ちたような話であった。
・・・・・非常に簡単!簡単な作業で、現金100万円が貴方の元に!・・・・・
「ナンカ チョットアヤシイワネ・・・」
しぃ美はそう思いつつも、そこに書かれている電話番号に電話をして見る事にした。
「モシモシ! アルバイトノキジヲ ミタモノデスガ。」
「はい、こんにちわ。営業担当のモラ則です。つきましては、ご説明会を行いたいと思いますので、XX広場までご足労
願えませんか?」
「ワカリマシタ! ドンナアルバイトナンデスカ?」
「その事に関しましても、説明会できっちりと説明致しますのでご安心ください。では、お待ちしてますね。」
「エ? アノ・・・・」
そう言うと、電話はガチャリと切れた。
しぃ美はその対応に些か疑問を覚えつつも、指定された場所に向かってみることにした。
その場所には、もう一匹のしぃがいた。どうやら同じ情報誌を読んできたようである。
「コンニチワ! アナタモザッシヨンデキタノ?」
「ウン! デモ100マンエンッテ スゴイヨネ! ナニカオウカナ・・・・」
そのしぃの名前はしぃ瑠と言うそうである。二匹のしぃは出会いの印にダッコをかわすと、モラ則の到着を待った。
数十分後、手に小型の妙な機械を携えて、モラ則がやってきた。
「こんにちわ、今回はあなた方二人だけのようですね。では、さっそくですが、仕事の説明をさせて頂きたいと思います。
今回、わが社が開発した、ある機械があるのですが、お二人には、その機械の実験台になってもらいたいのです。」
「ジッケンダイ?? イタクトカハ ナイヨネ・・・・」
「ご心配なく。なんの苦痛も『与えません。』なにも怖がることは無いのですよ。」
見たところ、その小さめの機械には、アースノーマッドのような形をしていて、中にかなり複雑な機械がそのスケルトン
状の胴体から見えている。
上の突起には小さな赤いボタンがついている。
しぃ美は、得体の知れないその機械に、少々の不安を覚え、さらに質問を続けた。
「ソノ ボタンヲオスト ドウナルノデスカ?」
「いい質問ですね。それが今回の仕事で一番重要な事なのです。実は、このボタンを押すと『何も無い空間』に飛ばされ
ます。意識だけが飛んだ状態なので、もちろん死ぬことはありません。餓死することも、事故死することも。その空間
で、『一億年間』何もせずに、何もしなくて良いです。ただ、其処にいさえすれば。無論、途中でやめる事は出来ません。
そして、一億年経ち、帰ってくるときに特殊な電波を使い、記憶はリセットされます。」
「イチオクネンモ・・・・」
「デモー、 イタクモナイシシナナインデショ! ワカッタ! シィルヤッテミル!」
「わかりました。では、この機械の上のボタンを押してください。」
「ハーイ!」
しぃ美はしぃ瑠の行為が少し無謀に見えたが、本人が決めたことなので、黙ってみていることにした。
「コノボタンヲ オセバイイノネ・・・」
しぃ瑠の指が、突起上のボタンに掛かり、そのボタンがしぃ瑠の指の圧力によって沈み込んだ。「カチリ」
パチッ
乾いた、電流の音が響いた。しぃ瑠は一瞬目をパチクリさせ、
「アレ? ナンナノ? イマノ」
と、何が起こったのかわからないままでいた。
もちろん、しぃ美にも。この実験をやらせたモラ則を除いて。
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