「ゴボッ!!」

モモラーはしぃ美の吐血と自身の腹から流れる血にまみれ、真っ赤になった。
後ろではしぃ美の母親が呆然としていた。が、すぐに平静を取り戻し、

「コノヤクタダズ!!! ワタシガコロシテアゲルワ!」

と、自身の娘に対して自分が護身用に持っていた短銃を向けた。

その時・・・表に数人の足音が聞こえ始めた。

「やっと来たか・・・遅かったな。しぃ対の人たちは。」

「ハニャッ!? シィタイ!? ギャクサツチュウヲヨンダノネ! コノクソAA!!」

「ああ。 後片付けでも頼んでもらおうと思ったんだが、私は疲れたからしぃ対の面々にでも
 虐殺されてくれ。」

「ハニャーン!! イヤダヨゥ! シニタクナイノ! ダレカタスケテー!!!!」

「無駄だ。お前の取り巻きは既に私が殺したし、一般のアフォしぃは使い物にならない。
 頼みの綱のモンスター・・いや、自分の娘は瀕死の状態だ。諦めるんだな。」

「ソ・・・・・・ソンナ・・・・・・」

一人と一匹が問答をしている間に、しぃ対が二人部屋に入ってきた。

「貴方がご連絡をくれた桃山さんですね?アフォしぃの基地を見つけてくださってどうも
 有難うございます。この御礼金は後ほど、と言うことで・・・。」

「ええ、わかりました。しかし・・約束は守ってもらえますよね?」

「はい、分かっております。しかし奇特な方だ。


 『ベビしぃだけは助けてほしい』、などと・・・・。


 未来の犯罪者予備軍かもしれないのに・・。」

「それは親がアフォだからこそ育て方を謝ったせいでしょう。元々しぃには生まれつき高い知能が
 備わっていると聞きます。この私がしっかりと育てれば普通のしぃへと育ってくれるはずです。」

「・・・・わかりました。では、このリーダーらしきアフォしぃの始末は私どものほうで・・。」

「ええ、お任せします。」

「さあ、覚悟するんだな、アフォしぃよw」

「イヤァァァァァ!! コナイデェ!」

あまりの恐怖に狂乱状態となったしぃ美の母親は、銃を乱射するもののしぃ対の銃を防護する盾に
阻まれて阻止されている。
もはやしぃ美の母親がこの場で虐殺されるのは時間の問題だろう。
だが、ここで予想外の事が起こった。
瀕死状態のしぃ美が起き上がり、しぃ対へと一直線に向かってきたのだ。
しぃ対はなすすべも無く、瀕死とは思えないほどの重い一撃を受けることとなった。

一瞬、しぃ対の面々、しぃ美の母親、そしてモモラーにも、事態は飲み込めなかった。
吹っ飛ばされたしぃ対の隊員の首が異様な方向に曲がり、壁にぶつかり二度三度痙攣すると、
そのまま動かなくなった。しぃ美の母親はこれを天佑と見たようだ。

「イイワヨ! ソノチョウシデ マターリヲコワスギャクサツチュウヲ ミナゴロシニシナサイ!!」

しぃ対も黙ってる訳が無い。

「ちっ! 死に損ないの化け物め! 今とどめを指してやる!」

しぃ対の面々は銃を一斉にしぃ美に向かって構えた。

「グ・・・・・グルル・・・・・・・・」

しぃ美は口から血を吐き、よろめきながらも自身の母親の前に立ちふさがり、守ろうとする。
そして・・・モモラーの目に、予想もしない事が写っていた。

「オ・・・・・カア・・・サ・・ン・・・・・ニ・・・・・・ゲ・・・・テ・・・」

「しぃ美・・・・さん? 意識を取り戻したのか!!」

このある筈も無い「奇跡」を、しぃ対の面々は見逃してしまっていた。

「死ね! この化け物めが!」

「やめろ!! しぃ美さんはもう意識をっっっ・・・・・・・!!!」



ズダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダッッッ!!!!


しぃ対の銃より放たれた弾は、しぃ美の体を貫き、意識を彼方へと葬り去った。
しぃ美は前のめりに崩れ落ちると、そのまま動かなくなった。
しぃ美の母親は呆然とそこに立ちすくんでいた。

・・・・・なぜ?
・・・・・なぜ意識を取り戻しても私を助けようとしたの?
・・・・・私は貴方を邪険に扱っていたのに?
・・・・・なぜ?

しぃ美の母親の思考にあらゆる考えが巡り、頭を抱え、膝から崩れ落ちた。
しぃ対の面々がその抜け殻と化したしぃ美の母親を始末しようと近づく。
だが、モモラーはそれを阻んだ。

「・・・待ちなさい。」

「・・・え?何ですか? このしぃはアフォしぃですよ?いまさら助けるなんて・・。」

「・・・いえ、このしぃは私が始末します。今日は有難うございました。これは謝礼です。」

「ええ・・。解りました。下のアフォしぃについては?」

「それは貴方達に任せます。」

「解りました。では・・・・・」

しぃ対の面々は、仲間の死体を担架に乗せると、その場を離れた。
しばらくして、下の階から甲高い癇に障る叫び声が聞こえてきた。恐らく仕事をこなしているのだろう。
モモラーは中腰になって座り込み、自問自答を繰り返しているしぃ美の母親に向かって近づいた。

「ナンデ・・・・? ドウシテ・・・・?」

「貴方は・・・我が子の愛に助けられたんですよ。」

「ソンナ・・ワタシハ、 ズイブンアノコニヒドイコトシタノヨ? ナンデアノコハワタシヲ マモッタノ?」

「しぃ美さんは、前、良く貴方の事を話していましたよ。自分の子にマターリに反発された、私に向かって
 随分と露骨な嫌がらせを受けたって・・。でも、貴方は生まれたばかりのしぃ美さんをものすごく
 可愛がったと言ってました。自分を酷く今は苛めていても、昔愛されていた記憶が残っていたの
 でしょう。貴方を確かに疎んじていた。恨んでいた。しかしそれ以上に・・・。






                    貴方を、愛していたんだ。

 

  


 ・・・しぃ美さんは最後に意識を取り戻したとき、貴方に笑いかけたの、気づいていましたか?」



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