=モモラー=
灰色に囲まれた空間の中で、モモラーとアフォしぃは目を覚ました。

「・・・目が覚めたか。」

「・・・・エエ」

「じゃあ、さっそく本部へと案内させてもらうか。」

モモラーとアフォしぃは、まだ眠っているベビしぃをモモラー手製の「揺り篭」にのせると、
一路、アフォしぃの案内により本部へと足を進めた。

「・・・・アンタ、モシカシテホンブノレンチュウモコロスツモリ?」

「・・・そうだな。あいつらは所詮害獣だ。全員ダスキソ送りにしても構わないが、私を
 撃った・・・いやそんな事はどうでも良い。小屋に火を放ち、殺した張本人。・・・つ
 まりお前ら都会から逃げてきたしぃどものリーダーを殺させてもらう。」

「カテルハズガナイワ。 ホンブノレンチュウハ100ヒキヲコエルノヨ! ギャクサツチュウヒトリデナンテ、コロサレルノガオチヨ!」

「・・・やけに親切じゃないか。お前は何かそいつらに恨みでも有るのか?」

「・・・カンケイナイデショ・・・。」

「ふむ、確かに無駄な詮索だったな。まあ良い、そこの都会からの侵略組のリーダーさえ
 殺せれば良い。後の奴らは都会へ送り返すなり、ダスキソに送るなりすれば良い。お前
 みたいなアフォしぃは生かしておくとろくなことにならないからな。ダスキソへいって
 雑巾になるか、都会で虐殺されるかだ。」

「・・サッキカラ「アフォシィ、アフォシィ」ッテウルサイワネ! ワタシニハ「シィコ」ッテイウナマエガチャントアルノヨ!」

「名前なぞどうでも良い。お前も案内し終わった後は都会へ帰ってもらう。」

「・・・・」

アフォしぃこと「しぃ子」は、そう言うと、押し黙った。モモラーは、その態度に少し疑問
を抱きながらも、本部への場所へと急いだ。
しばらくたった時、揺り篭の中でベビしぃが目を覚ました。

「ファァ・・マァマ、ドコ? ア!シィオネエチャンナッコチテ!」

ベビしぃはそう甘え声を出すと、しぃ子の背中にしがみ付いた。
しかし、昨日の夜一緒に添い寝をしてくれたしぃ子の反応は無かった。

「オネーチャン ナッコチテヨゥ! ナッコナコナコ!」

「・・・・ウルサイワネ!」

しぃ子は悪態をつくと、ベビの首をつまんでモモラーの元に放り投げた。
モモラーは慌ててベビを抱きかかえる。

「ピエーーーーーーン! オネーチャン コワイヨゥ!」

ベビしぃは火がついたように泣き始めた。しぃ子はさらに悪態をついた。

「ギャクサツチュウト イッショニイタ ベビナンテシィジャナイワ!」

そう言うと、再びそっぽを向いて歩き始めた。
普通の人ならここで「なんて事をするんだ!」と怒り始めるところだろう。しかし、モモ
ラーの目には、違うものが映っていた。もしベビの事を本当に疎んじているのなら、地面か
そこらに投げ捨てるだろう。しかし、しぃ子はわざとモモラーが抱きかかえると思ったの
だろう。モモラーの元へ投げたのだ。モモラーはにこやか顔になり、こう思った。
「(しぃ子とやらは、まだ完全にダッコ革命党の党員になりきっていないのだろう。今のベ
 ビしぃに対する態度が何よりの証拠だ。口ではベビに対する恨み言を言ってるつもりだろう
 が、体がまだそこまで非常になりきれていないのだろう。)」

モモラーは、泣くベビを泣き止ませながら、そう思った。
そして朝方に出発して夕方になったころだろうか。疲れて歩けなくなったしぃ子を担ぎながら、
本部の場所についた。その本部の醜悪さを来たら、並の感性を持っている人なら、誰でも
理解するだろう。全面ピンク色に塗られた壁、無駄に装飾を飾っている屋根、その屋根の
真ん中に書かれたこれでもかというくらいニヤケ顔のアフォしぃの絵画。しかし実際はそれら
を全てとったら少し豪華な住宅といった所だろうか。そんなに広さは感じられなかった。

「さて、案内ご苦労様と言いたい所だが、ここで逃げるのは自由だ。しかし、アフォしぃは
 一匹じゃ生きられない。そのままのたれ死ぬか虐殺されるだろう。そうなりたくなかった
 ら、ここで待っていろ。」

「モシアナタガシンダラ ワタシハスキカッテデキルワネ・・・」

しぃ子は脅しをかけたつもりだろうが、

「死にはしない。田舎で落魄れても元は都会で一人で暮らしてきた。そんなアフォしぃ100匹ごとき
 に不覚をとるほどヤワな鍛え方はしていないつもりだ。」

そう言うと、モモラーはその都会から逃げてきたアフォしぃのアジトに、一人向かっていった。

=しぃ子=
しぃ子は、ようやく安堵の表情を浮かべた、いつ自分が死ぬかと、ヒヤヒヤしながら道中を
歩いていた。さて、モモラーの事をダッコ革命党の同志に知らせるべきか・・。
そう思っていた矢先、ベビしぃの事に目が行った。
ベビはさっきの投げ飛ばした事に怖がっているのだろう。しぃ子に背を向け、震えていた。

「・・・・・ホラ、オイデ?ダッコシテアゲル。」

しぃ子はそういうと、ベビは目を輝かせ「ナッコナッコ!」と言いながらしぃ子の胸に飛び込んだ。
しぃ子は、ベビを胸に抱きながら、昔の自分を思い出していた・・・。


「ダッコカクメイトウ バンザーイ!」
「マターリノヨノナカ ヲトリモドセ!」
しぃ子は、元々自分の意思でダッコ革命党に入ったのではなかった。
マターリ狂信者の友達に半ば強制的に入らされたのだ。
しぃ子は、入ったばかりはそのあまりのマターリ狂信に戸惑いを感じていたが、次第にとりこまれて
いった。しかし、今の今までこれだけは納得のいかない物があった。
それは「ベビニウツツヲ ヌカスナンテ ナンジャクモノヨ!」と言う決まりごとだった。
ベビを育てる保母さんになりたい。というのがしぃ子の夢だったため、その決まりごとには
いまだに心の中で反発していた。

「モシコノコガミツカッテモ、ベビハベビヨ・・ワタシガマモラナクチャ。」

しぃ子は、今はスヤスヤと軽い寝息を立てているベビを前に、強い決意を胸に抱いた。
=しぃ美=
何時間眠らされたかわからない。しぃ美は、目をさました。辺りを見渡すと、そこに
武装したアフォしぃと・・・・見慣れているが二度と見たくないと思った顔、そう母親の
顔があった。

「オカアサン・・ワタシヲ、ドウスルツモリ?」

「フフ・・アナタハワタシタチヲ ステテ、アノクソAAナンカノトコロニイタ。ツマリハウラギリモノヨ。」

「ハニャン! ウラギリモノデスッテ!」
「クソAAナンカト イッショニイタノハバンシニアタイスルワ!」
「シブチョウ! コノウラギリモノヲ マターリノナノモトニショブンシマショウカ?」

「マチナサイ。 ウラギリモノトハイエ シィハシィ。サイゴマデワタシタチノ ヤクニタッテシンデモラウワ。」

「ドウスルツモリ・・・。」

しぃ美は既に、死を覚悟していた。
しかし、そこにあったのは死よりも辛い事だった。
しぃ美を絶望に引きずり込む一言を、その実の母親が娘にむかって言った。

「アナタヲ、「モンスターシィ」トシテ、カイゾウシテ トカイノギャクサツチュウニフクシュウスルワ!モチロン アナタノイシキハ シヌケドネ♪」

しぃ美は、その一言に気を失った。そして、薄れ行く意識の中で、モモラーとの思い出を
思い浮かべていた。
・・・しぃ美が「しぃ美」として意識を持っていたのは、これが最後になった。



戻る Back Next