=しぃ子=
モモラーが向かってもう30分も掛かっただろうか・・・。
すっかり眠っているベビしぃを胸に抱き、自分もうとうととしかけた頃、
後ろからアフォしぃ達の声が聞こえた。

「ミマワリッテツマンナイネー ハヤクオワラシテマターリシヨウヨ!」
「ソウダネー ダッコゴッコシヨ!」
「イイネ! ジャアワタシダッコサレヤクネ!」
「アッズルイ!」

しぃ子は動揺した。もしこの場で見つかれば、「ベビヲソダテテイル ナンジャクモノ」として
殺されてしまうかもしれない。否、自分だけならまだ良い。
ベビしぃまで、玩具にされて殺されてしまう。
昔からしぃ子は、ベビを育てていた軟弱者として、多くの母親もろとも殺されたベビしぃを
見てきた。この子も・・・。そうなってしまうだろう。

「ドウスレバ・・・ドウスレバイイノ?」

しぃ子は無い頭で必死に考えた。そして、一つの案が浮かんだ。この考えだったら、恐らく
ベビは助かるだろう・・。しかし自分は・・。
いや、覚悟を決めなければならない。自分は自分の考えじゃなくとも、ベビを殺そうとして
しまったのだ。その罪を償うときが、今来たのである。
しぃ子は、覚悟を決めた。と同時に、見回りアフォしぃに見つかった。

「ハニャン! シィコジャナイ! ドコイッテタノヨ!」
「アラ? ベビシィモッテルワヨ!」
「ナンデスッテ! シィノオキテワスレタワケジャナイデショウネ!」
「ベビヲソダテテル ナンテナンジャクモノヨ!」

しぃ子は、若干の沈黙を置いた。そして、軽い口調で喋り始めた。

「ワカッテルワヨ ソンナコト! ジツハネーサッキベビヲソダテテイル ナンジャクモノヲ コロシテキタノヨ。 コノクソベビハ「センリヒン」
 ヨ。イマカラコロソウトオモッテタノ」

「ハニャン! ワカッテルジャナイ!」
「ハヤクコロソーヨ!」
「マターリチュウニュウボウ カシテアゲル!」

「ウン! ジャージョソウツケテイッキニヤルネ!」

「ハニャ・・・?」

ベビしぃは、怯えたようにそこに座ってじっとしていた。
そして、しぃ子はアフォしぃ達の後ろへと回った。棍棒を振り上げると、こう言った。

「ソンジャア イクワネー」

「ハニャ! ワクワク♪」

アフォしぃ達は羨望の眼差しでいつベビが血飛沫をあげるのかと心待ちにしている。
そのせいか、後ろでのしぃ子の表情の変化に気が付かなかった。一気に冷血へと変貌した、
その表情に。
不意に、しぃ子はぼそりと呟いた。

「・・・・・・・・シヌノハ・・・・・・」

「ハニャ? ナンカイッタ? ハヤクコロシチャッテヨ!」

と、アフォしぃが後ろを振り向いた瞬間、

「オマエタチノホウダァッッ!!!!!!!!!」

と、しぃ子はアフォしぃの頭に棍棒を振り下ろした。アフォしぃの頭が真ん中の少し左より
からパックリと割れ、血を噴出しながら倒れこんだ。
振り返った不幸なアフォしぃは、ニ、三度痙攣すると、息絶えた。

「ハ、ハニャニャーン! ナンノツモリ! ウラギッタノネ!」
「ユルサナイワヨ! コロシテヤルンダカラ!」

しぃ子はおなじしぃ族。2対1ではどう見てもこちらのほうが分は悪いと、普通の人は思うだろう。
しかし、しぃ子と向こうのアフォしぃでは覚悟が違った。阿修羅の如く殴りかかったしぃ子に、
少しは反撃したものの、アフォしぃ二匹は打ちのめされた。内一匹は後頭部に一撃を食らい、
息絶えた。

「ハァハァハァ・・イタイ・・」

もちろんしぃ子も無事ではない。腕の骨と肋骨が何本か折れた。
痛みにうずくまる。まだ息のある後ろの一匹にも気づかないまま。

「ハ・・・ニャ・・コロ・・・ス・・」

後ろのアフォしぃは頭から血を流し、片方の目玉が潰れたまま、異様な姿のまま立ち上がった。
そして、何処かに隠し持っていた仕込みナイフを取り出すと、それほど早くないスピードで
しぃ子に襲い掛かった。
普通なら軽々と避けられただろう。しかし、いまのしぃ子には無理だった。
気づくと同時に棍棒を頭に食らわし、自分も食らう感じで相打ちになる他無かった。
しぃ子の折れた肋骨はナイフの進入を安々と許し、心臓を切り裂き、胃を貫いた。
殴ったアフォしぃは棍棒の一撃で頭が砕け、既に息をしていない。
しぃ子も時間の問題だろう。胃からの出血で、口から血が溢れ、息がまともに吸えない。

「・・・・(ワタシモ、コレマデカ・・。)・・・。」

そのまま意識が飛んでゆく正にその瞬間、一つの小さな声によって繋ぎ止められた。




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